からっぽ

からっぽ

「私は、公認会計士です。私は、税理士です。私は、私は、私は、・・・」
ビバンセのステージに立つ弘筆代議士を眺めてはいたが、耳には何の言葉も残らなかった。いくら事情があったとはいえ、この自己顕示欲の塊の秘書になるというのは最悪の選択をしたようだ。いやいや、多くは語るまい。
それにしても、今日も、役人が作ったものを派食った資料じゃないか。役人嫌いなくせに、ちゃっかり利用だけしやがる。せめて『出所:外閣府』くらい書いたほうが良いのでは?著作権法で訴えられるよ。
「食料自給率はカロリーベースで40%、国際競争力のある農業を・・・」「日韓トンネルを作って、アジアの佐賀県の発信地に・・・」「新しい時代の街づくりのために、みなさんの意見を聞くタウンミーティングを開催して、皆さんの意見を聞きながら・・・。下水などのインフラ整備に努力します。」
食料自給率が低いのは、ひとつに分母のせいもある。コンビニの弁当のように、作って捨ててる食材がいかに多いか。無駄に捨てる食料を少しでも減らすだけで、食料自給率は上昇するよ。モノが溢れる現代、とにかく効率を求め、海外に求めてきたのは自分たちだ。良質で高価な日本製を敬遠し、ありがたくユニクロや百円ショップにシフトしてきたじゃないか。食料に限らず、日本経済全体のことだ。
国際競争力のある農業とは効率的な生産体制を敷くことであり、安価な労働力を導入することだろう。しかし、大切なのは食料を世界に輸出することじゃない。世界からの輸入が先細って行く中、いかに必要量を確保できるかだ。潜在的な生産能力をいかに回復し、持続可能な形で維持できるかが今の課題であることを彼女は知らない。
そして、日韓トンネルが夢だったのは100年前のことだ。台湾、朝鮮半島には日本の技術者が作った施設がある。ロシアには、北朝鮮地域から持ち去れたものもある。そんな東アジアをリードしていた時代には、日韓、日台新幹線の夢も語れた。日韓の議員連盟で議論を率先していた人たちも知っているし、コネンクションもあるさ。でも、日今の時代そんな資金の出所はない。
「みなさんの意見を聞きながら・・・」なんて意味がない。人はみな、思い思いに好き勝手なことを言う。どうするのが良いのか提案するのがあなたの仕事だろう。そして、あなたの仕事とは、あなたが考えるんじゃない。必要な人間を使って考えさせるんだ。あなたは名前を貸すだけでいいんだよ。「私が、私が、私が・・・」とでしゃばってくるなよ。しかも、結局は公共工事しか思いつかないのか。からっぽなんだよ!
なぜか人はみな、自分が最高の人間だと思っている。自分が知っていることが全てで、自分が知らない世界のことを信じようとしない。意見をいう「みんな」という市民もそうだ。偉そうに自己を顕示している代議士もそうだ。

「今日の私の講演どうだった?」「あ~~、良かったんじゃないでしょうかねぇ。」帰りの車の中、上の空で、心にもないことを言う自分がいる。一瞬、車窓に映る自分の顔がピーマンに見えたのは気のせいだろうか。

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