マーメイド

マーメイド

泳げない僕はプールサイドの小さなラウンド型のジャグジーバスに腰掛け、妻を見ていた。妻は、誰もいない夜のプールをたった一人、水を切り進む。
ディズニーの魔法にかけられた僕らは、深夜2時、だれもいない夜のプールへと誘い出された。ブルーの幻想的な光が水中から星空に向かって放たれている。見渡すと、プールを囲んで建つこのオフィシャルホテルの客室は、どれも明かりが消えている。しかし、ここは寝ても覚めても夢の世界だ。
それにしても、フロリダの太陽が降り注ぐなかで、老若男女・多様な人種がバカンスを楽しんでいた昼間の喧騒とは、様子がガラッと変わった。長期滞在が中心の欧米人たちは、のんびり過ごしてこそリゾートだという。朝起きたら、喰って飲んでゴロ寝して適当に泳いで、また飲んで寝るのだろう。
せっかく来たのだから楽しまなくちゃと、ガツガツ忙しいのは僕らだけなのかもしれない。喰って飲んで遊んで。目覚め、毎食前後、夜食にと、この新婚旅行の間じゅう愛し合っている。しかし、彼女への愛はますます溢れ出てくる。
「何してたの?」ハシゴを上がった妻が、濡れた髪をかき上げ、歩いてくる。「うん、星を眺めてた。あの星座なんだろう?」僕の正面に立った妻は、振り返り、星空を見ながら、ゆっくりとジャグジーバスに入ってくる。薄桃色の水着が良く似合う白い脚が大きなバブルの中に消えた。
僕は立ち上がり、背後から妻を包むように抱きしめる。お互いに、しっとりと覆った汗が肌を滑らす。ぬるく湿った風が二人のほてった肌を癒していく。風に、媚薬が香ったらしい。「愛してる。」腰を寄せると妻もすぐに分かったようだ。「えっ、でも、感じ・・・ちゃ・・・う。」
僕はスイミングパンツのすそをめくり開放する。水着の股布をずらすと、お互いに導きあい、同じ向きのまま、ゆっくりと一緒に腰掛ける。膝の上に抱いてるだけにしか見えないだろう。腰から下はジャグジーのバブルの中だ。
このまま溶けて君とひとつになりたい。その想いが具現化するひとときがまたやってきた。文字通り僕は今、間違いなく君の中にいる。周囲を警戒しつつも、本能の赴くまま後ろから攻めるのは、僕が牡である証明だ。
僕は、首筋から耳元へと唇を添えた。ゆっくりと息を吐く。耳たぶを挟む。口を窄めて優しく息を吸う。妻の香りが鼻をくすぐる。カラダ中の血液が集中していく。彼女を押し広げる。彼女も応える。大きな動きは必要ない。粘膜同士が呼応しあう時間。左手で妻の内腿を支え、わし掴む。触れ合う肌の間に熱い汗をかきはじめた。妻は目を閉じ、天を仰ぐ。上気したほほが愛おしい。
右手で、妻の左ほほをなでる。僕は指先に意識を向け、そのまま滑らせる。人差し指が口元を過ぎるとき、薄く開いた唇につかまった。舌と人差し指のディープなセッションを楽しんで、喉元からさらに下へと向かう。水着の胸元まで来たところで、生地の縁に沿わせてもてあそぶ。手を広げ、手のひら全体でカップを包む。ビクンとカラダ全体で応えてくれる。彼女が僕を強く包み込む。ついに妻が吐息を漏らした。一瞬で、二人のカラダに鳥肌が立つ。
「ねぇ、ああっ、もうダメ。声がでちゃう。部屋へ戻ろうよ。あのね、続きは、バスルームで。ああっ、このまま、水着を着てしよ。」

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